企業規模別労務監査的アプローチ 終了後その2 簡易労務監査シート(通算第20回)
前回は、未払い残業代ほか、労働に由来する潜在債務がないかを解明する手段としての「労務コンプライアンス調査」を紹介し【図表6 労務コンプライアンス調査の提出資料(例)】をお示ししました。
今回は簡易労務監査シートの例をお示しします。
そもそも企業にはどのような労務リスクがあるのかをランキング形式で示した書籍がありましたのでご紹介します。今回は文末に2つ図表を載せますが、そのうちの【図表7 企業で発生する労務リスク上位15事案】をご覧ください。出典は、2024年10月、社会保険労務士法人みらいコンサルティングから出版された「労務コンプライアンス」(副題は「チェックリストでわかる人事労務リスク対策」)の39ページの図表の一部です。記載省略とした行には、法定帳簿の取り扱い、社会保険の取り扱い、安全衛生管理体制の整備、等々が書かれており、労務リスクが多岐にわたっていることが理解できます。
【図表8 簡易労務監査シートの例】は「未払賃金」という項目を監査する際のシートになります。表の「小分類」の欄は監査項目ないしは監査の着眼点と読み替えていただいて結構です。この表は連合会の経営労務監査eラーニングの資料「労務コンプライアンス監査項目シート」の「(6)未払賃金」の部分をアレンジして作成しました。このシートは「(1)就業規則」10項目、「(2)労働協約・労使協定等」13項目、と続き、「(22)健康保険・厚生年金保険の加入」7項目まで、総計で170項目に及びます。
前回の労務コンプライアンス調査でも言及しましたが、本来の労務監査は網羅的に、連合会のシートに倣うなら170項目を見るべきこととなります。しかしながら「簡易労務監査シート」にアレンジしていますので、特に気になる項目をピックアップして書類をチェックするというアプローチでかまわないと思料します。
今日の記事は以上です。次回(最終回)は「企業規模別労務監査的アプローチ 終了後その3 フルスペックの労務監査について(通算第21回)」です。