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企業規模別労務監査的アプローチ 第16回 中小企業へのアプローチ方法(内部で牽制を効かせるために) その1

企業規模別労務監査的アプローチ 第16回 中小企業へのアプローチ方法(内部で牽制を効かせるために) その1

この連載も第3コーナーを回ったというところでしょうか?文末の再掲図をご覧ください。中小企業シリーズが終わりましたら、労務監査そのものについてもアップしていきます。

今回から数回は、中小企業を対象に内部で牽制を効かせるためにどうすればよいのかを考えていきます。

ここでわたくしがイメージしている「中小企業」は、企業規模感でいうと、同族のみでは経理を回すことができずに、あえてその言葉を使うなら“他人”が経理の事務員にいるという規模感です。そこそこ大きい中小企業をイメージしてください。

中小企業の場合、社長が営業の先頭に立ち、社長夫人がガッチリ財布を握るという役割分担が多いです。

わたくしが駆け出しの銀行員だった昭和の終わりごろは、給与振込のデータを紙でもらっていました。ある会社でデータをみながらの総務部長との雑談です。

『社長のご子息は係長ですが、給与額が多いですね。』

『そら、そうや。』

『この人は社長と名字が違いますが、額が多いですね。』

『娘婿やがな。』

会社の売り上げに貢献する人、営業の人は他人でも全然かまいません。できる営業マンが社長のお眼鏡にかなって娘さんと結婚して、というのはたまに聞く話です。

話が脱線してしまいました。内部で牽制を効かせるための方策は、

①監査部設置を目指して体制を整える

②監査部は当面設置しないけれど、監査的な仕組みをつくって実践していく

ということが考えられます。

今回は①を説明し、次回②を説明します。①をするならば、②も同時に取り組んでいただきたいです。監査部設置なんて10年先にも想像できない、という企業でも②のアプローチはきっと役立ちます。

監査部設置を目指して体制を整える。小難しいですね。監査部設置なんて、10年先にも想像できなくても、考え方は理解していただきたいです。

ここでは、仕事を進めるうえでのルールが整備されているかどうかをみていきます。監査では、ルールどおり仕事がなされているか、そのルールは、そもそも依ってたつべき法令等に違背していないか、などをみていきます。

仕事を進めていく上でのルールがない企業はありません。飲食店チェーンで全店に共通するレシピがないことは考えられません。ただ、そのルール(レシピ)が本当に正しいのか、お客さまの嗜好とズレていないか、レシピの見直しが必要となっているのにそれができずに客足が遠のいているということが起きているかもしれません。

会社の仕事のルールが、もし、法令に違背しているならば、それは正さないとなりません。

ちょうど最低賃金の見直しで、1千円の時給が今までは許されていたのに、改定後は1千円の時給が許されなくなるのと同じです。

社労士としては、その企業の本業に関する助言は難しいものですが、その業界の新聞記事について社長に質問するなどの雑談が、実は社長に喜ばれるかもしれません。 今日の記事は以上です。次回は「中小企業へのアプローチ方法(内部で牽制を効かせるために) その2」です。