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企業規模別労務監査的アプローチ 第18回 中小企業へのアプローチ方法(内部で牽制を効かせるために) その3

前回は自己点検の一例として、印紙の現物管理の実施方法をご紹介しました。今回は、勤怠管理に関する自己点検についてご紹介します。

時間外勤務管理表への記載・承認方法等が正しいかどうかを、自己点検に任命された者がチェックしていきます。

記録内容の正確性・整合性の確認としては、タイムカードや入退室記録と時間外勤務申請の時間が一致しているか、申請理由が妥当か、承認プロセスが正しいか(権限者が承認しているか、時間外申請が未承認のまま放置されていないか)などをチェックしていきます。

休暇申請簿についても、その休暇を事前に権限者が承認しているか、当該休暇の取得日数累計が取得可能日数以内か、などをチェックしていきます。

実際の労働時間が過少申告されていないか(サービス残業がないか)、36協定で定めた上限時間を超えていないかなどは、特に注意して確認してください。

見つかった不備・そこから導き出される課題は、人事政策や改善アクションに結びつける、というのが理想型です。どう対応すればいいのかを社長へ助言することはまさに社労士の仕事だと思います。

なお、「自己点検」という用語ではありますが、その事務を日常的に担っている者は自己点検者に任命できません。勤怠管理の自己点検では、時間外勤務時間の集計を担当している者(Pとします)、時間外申請を承認している者(Q課長とします)は自己点検者に任命できません。そうすると適任者がなかなかいないという事態にもなります。隣の課の集計担当者を自己点検者に任命するとかQ課長の上司のX部長を任命するなど、工夫が必要です。

前回と今回は、「監査部設置なんて、10年先にも想像していない」中小企業を念頭にしていますが、監査部のある企業では、被監査部署における自己点検の実施状況を監査の対象にしている場合があります。オフサイトモニタリングで自己点検の実施状況を確認して、実施状況と結果が良好なら、その部署をその年度の監査対象から外すなどということもあります。

今日の記事を以て、当初予定していた企業規模別労務監査的アプローチは終了しました。次回は「企業規模別労務監査的アプローチ 終了後その1 労務コンプライアンス調査」です。

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